再生可能エネルギーによる発電量は今後5年間で84%増加する見込み、新しいデータセンターからの需要急増に起因:ブルームバーグNEF

*本プレスリリースは、BloombergNEFが2025年4月15日(現地時間)に英語で発表を行ったプレスリリースを日本語に翻訳・再編集したものです。オリジナルのプレスリリースの正式言語は英語であり、この内容および解釈については下記の英語版が優先となります。英文オリジナルにつきましてはこちらのサイトをご参照ください。

 

  • ブルームバーグNEFによる「長期エネルギー見通し(NEO):2025」は、世界のエネルギートランジションが、競争が激化する経済、増大するエネルギー需要を満たすための投資判断、既存の短期的政策の影響を受けながら、今後どのように進んでいくかを記しています。
  • 本レポートにおけるベースケースである経済移行シナリオでは、道路輸送におけるクリーン電力と電化の積極的な導入、天然ガス需要の成長、石炭・石油の長期的な減少に伴い、二酸化炭素排出量は2050年までに全体で22%減少する見込みとなっています。
  • BNEFのモデルによると、世界で初めて構造的に二酸化炭素排出量が減少に転じた可能性を示しています。

【ロンドン、2025年4月15日】 政策リスクと地政学的な緊張の高まりに直面する中、投資家や企業にとって、エネルギートランジションへの対処は、かつてないほど複雑になっています。 ブルームバーグNEF(BNEF)が本日発表した「長期エネルギー見通し(NEO):2025」では、クリーンエネルギー技術のための十分な可能性と、コスト競争力が高まるソリューションとエネルギー需要の増大が交差する中で、世界のエネルギートランジションがどのように進んでいくかを検証しています。

BNEFによる最新の経済移行シナリオ(ETS)では、コスト競争力のある技術が投資判断をけん引し、増加するエネルギー需要に対応する低炭素エネルギーシステムへの道筋を描いています。BNEFでは、人工知能の利用増加に伴い電力需要は急速に伸び、これが企業にとっては大きな課題にもビジネスチャンスにもなりうるとみています。本レポートによると、経済発展、電気自動車、冷房需要、データセンターによって包括的に電力消費が押しあがり、電力需要は2050年までに75%増加する見通しです。

BNEF経済性モデリング部門統括で本レポートの執筆責任者である、デイビッド・ホスタートの見解は次の通り:「この増加で大部分を占めているのは、アジア、中東、アフリカにおける経済成長です。ここには、電力インフラ投資の最大のチャンスが潜在しています。BNEFでは、これらの市場におけるデータセンターの電力需要は、2035年までに6-16倍に増加し、260テラワット時(TWh)に達すると想定しています。」

特に、データセンターは最も主要な電力需要源の一つとして浮上しており、2035年には世界の総電力需要の4.5%を占め、2050年にはその割合が8.7%まで上昇すると予測されています。データセンターの電力需要を満たすには、2035年までに世界で362ギガワットの発電容量が追加で必要になると、BNEFは試算しています。このトレンドにおいて、米国は最も重要な市場として突出しています。BNEFが同じく本日公開した「米国におけるデータセンター市場見通し」の分析によると、米国のデータセンターの電力需要は、2024年は総電力需要の

*本プレスリリースは、BloombergNEFが2025年4月15日(現地時間)に英語で発表を行ったプレスリリースを日本語に翻訳・再編集したものです。オリジナルのプレスリリースの正式言語は英語であり、この内容および解釈については下記の英語版が優先となります。英文オリジナルにつきましてはこちらのサイトをご参照ください。3.5%であったのに対し、2035 年までには8.6%に増加し、他の主な電力需要源よりも急速な伸びを示すと考えられます。今後5 年間で、米国のデータセンターからの需要は、膨大な計算能力と高密度なエネルギーインフラを必要とするAIトレーニングワークロードの急増により、電気自動車の需要増加さえも上回る可能性があります。

BNEF によるグローバルレベルでのETS では、再生可能エネルギーと電気自動車はコスト競争力が高まり、成熟した技術が普及を加速させることで、その役割は拡大し続けるとみています。再生可能エネルギーの発電量は、2030 年までの5 年間で84%増加し、2050 年までに再び倍増します。世界の電力需要において、太陽光、風力、その他の再生可能エネルギーが占める割合は、2024年の33%から、2050年までに67%を占める見込みです。同様に、乗用電気自動車の販売台数は、2024 年の1,720 万台から2030 年には4,200 万台に増加し、2050 年にはさらにほぼ倍増の8,000 万台にまで増加すると見込まれています。今後数十年間にわたり、道路輸送においてクリーン電力と電化が積極的に導入され、ETS における排出量は2050 年までに22%減少する(2005 年の水準に回帰)とBNEF は考えています。これは、2100 年までに地球温暖化が2.6 度進むという仮定に沿ったもので、その確率は67%です。

BNEF エネルギー経済部門統括で本レポートの共同執筆者である、マティアス・キメルの見解は次の通り:「本当の変化を実現するには、クリーンエネルギー技術への大規模な投資と市場全体での迅速な導入が不可欠になります。BNEF のETS における再生可能エネルギーへの総投資ポテンシャルは、2025 年から2035 年は総額約
6 兆ドル、2025 年から2050 年は10 兆5500 億ドルです。政策立案者と投資家は、再生可能エネルギー、蓄電池、電気自動車など、すぐに利用できるソリューションを引き続き活用しつつ、エネルギー供給と安全保障を巡る新たな機会に資本を投下すべきです。」

輸送セクターの石油消費量は、電化に伴い今世紀半ばまでに40%削減される見込みですが、長期的な価格見込みで石油を下回るガスは、データセンターの電力需要増加も相まって、ETS で果たす役割がさらに大きくなるとみられています。具体的には、世界の天然ガス需要は2024 年から2050 年までに25%増加する見込みです。一方、再生可能エネルギーや電気自動車とは異なり、水素、二酸化炭素回収・貯留(CCS)、クリーン燃料、低炭素の産業プロセスは、ETS においてさほど影響を与えるには至っていません。

本レポートには、昨年発表したBNEF のネットゼロ・シナリオ(NZS)との比較も掲載しています。NZS では、2050年までに世界でネットゼロを達成し、気温上昇が1.75 度に抑えられる道筋を描いています。NZS は、クリーン技術の導入を早めるよう提唱しています。2035 年までに全世界で設置される風力と太陽光の容量を、ETS では12.6 テラワットとしているのに対し、NZS では16 テラワットとしています。乗用電気自動車の使用台数は、2035年までに2 倍の9 億5200 万台になるともみています。複数のセクターが脱炭素化を加速させている中で、原子力発電の容量は750 ギガワットを超え、水素は1 億5900 万トンに達し、持続可能な航空燃料の需要は、400 億ガロン近くまで急増しています。

本NEO には、2035 年までの10 年間に焦点を当てたセクションも含まれています。2035 年は、パリ協定に基づき、各国が3 回目の「国が決定する貢献」(Nationally Determined Contribution、NDC)を提出する年ですが、その提出は今年、ブラジルで開催されるCOP30 に先立って行われる見込みです。多くの国がまだ排出量削減公約を発表していませんが、欧州連合(EU)、豪州、韓国などの市場は、NZS に歩調を合わせるために、2035 年までに約70%の排出量削減を目指す必要があると、本レポートは指摘しています。

また、当レポートの調査結果には、以下も含まれます:

  • 再生可能エネルギー、電気自動車、蓄電池、CCS、水素、持続可能な燃料、ヒートポンプ、送電網インフラなど、ネットゼロ排出を達成するための主要技術拡大必要性
  • ベースケースであるETS(185兆ドル)とNZS(213兆ドル)の両方を達成するために必要な投資額と、ETSとNZSの差がわずか15%である理由
  • 主要国間の二酸化炭素排出量の推移の比較、パリ協定の目標を達成するために必要な排出量削減措置、3回目のNDCを提出した国の評価
  • 主要経済セクター別エネルギー消費量と排出量の推移に関するインサイト

BNEFをご契約のお客さまは、ウェブサイトおよびブルームバーグ ターミナルでレポート全文を閲覧いただけます。それ以外の方は、こちらから要約版をご覧いただけます。

 

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ブルームバーグNEFについて
ブルームバーグNEF(BNEF)は、世界の脱炭素化についての戦略的な分析を提供する、ブルームバーグのリサーチ部門です。BNEFの専門的なカバレッジは、電力、運輸、産業、建築、農業セクターがエネルギー転換に適応するための道筋を検証します。コモディティ取引、企業戦略、財務、政策に関する専門家が変化を読み解き、ビジネスチャンスを生み出すためのサポートを提供します。

【本件に関する報道関係者お問い合わせ先】
ブルームバーグ広報代行:アシュトン・コンサルティング ac-bloomberg@ashton.jp

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